皮膚科

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皮膚科の診療は、皮膚科の非常勤医師が診察しております。

<<アトピー性皮膚炎コーナー>>

<質問コーナー>以下の質問、回答は平成12年5月から、当科外来に掲示していた内容です。

(質問) 「アトピー性皮膚炎」の「アトピー」とはどんな意味ですか?

(回答) 人間の体には、外から必要のない物が入ってくると、それを排除しようとする反応が起こります。このような人間に本来ある力は人間が生きていくために必要なものです。しかし、時に、人間の体に不利益をもたらすような過剰な反応が起こることがあります。このような反応のことを「アレルギー」といいます。このような「アレルギー」による病気には、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギーなどがあります。このような病気に対して1923年Cocaという方が「アトピー」と名づけました。「アトピー」という言葉はギリシャ語で「不思議な、異常な、不合理な」といった意味を持っています。その後1935年Hill&Sulzbergerという方が喘息などを合併しやすい特異的皮疹を持った湿疹を「アトピー性皮膚炎」と名づけました。このような経過で現在「アトピー」、「アトピー性皮膚炎」という言葉が広く使われています。歴史的には紀元前のローマ帝国のAugustusもこの病気に罹患していたのではないかとの記録もあります。

(質問) アトピー性皮膚炎とはどのように定義されている病気ですか?

(回答) 皮膚がカサカサして、かゆがっているお子さんと一緒に皮膚科の外来を受診し、「この子はアトピー性皮膚炎ではないでしょうか。」と心配しておられる親御さんが多くみうけられます。皮膚がカサカサしてかゆい皮膚科の病気には、皮脂欠乏性湿疹、接触皮膚炎(「かぶれ」のことです)など多くの疾患があります。しかし、今アトピー性皮膚炎のことがマスコミ等でとりあげられる機会も多くあり、多くの方がアトピー性皮膚炎という言葉に接する機会が多いためにこのような心配をして外来を受診される方が多くなっていると考えています。私達皮膚科医がアトピー性皮膚炎の診断を行うときには、日本皮膚科学会が示しているアトピー性皮膚炎の定義に基づいて診断を行っています。そこでは、アトピー性皮膚炎は次のように定義されています。

アトピー性皮膚炎の定義(概念)

「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ」

アトピー素因:①家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または ②IgE抗体を産生しやすい素因
このような疾患であることを念頭におきながら同じく日本皮膚科学会が示しているアトピー性皮膚炎の診断基準と照らし合わせながら私達は診断をしていきます。

(質問) 乳児期のアトピー性皮膚炎にはどんな症状がありますか?

(回答) 生後4,5ヶ月経ったころから、口の周りを中心に赤いブツブツができ、それが首やほほに広がっていくような皮膚の状態がこの時期の特徴的なアトピー性皮膚炎の症状です。このような皮膚の状態がその後おなかや背中にも広がっていきます。またこの時期の特徴として、ブツブツが集まって少し湿潤(じゅくじゅくした状態)した局面を形成していることもあります。しかし、顔やおなか、お尻に赤いブツブツができているからといって、すべてアトピー性皮膚炎とは限りません。乳児の場合、よだれによって口の周りやほほの皮膚が荒れて赤くなっていることもありますし、また、おなかや腰のところに赤い皮疹があってもオムツかぶれのこともあります。逆にアトピー性皮膚炎では、オムツを着用しているところは皮膚が保護されるためにきれいな皮膚を保っていることが多いです。

(質問) 幼児期、学童期のアトピー性皮膚炎にはどんな症状がありますか?

(回答) この時期のアトピー性皮膚炎の患者さんには、乳児期から症状が続いている患者さんと、この時期にはじめて発症した患者さんがいます。乳児期から症状が続いている患者さんでは、体幹、四肢、顔などに少しふくらんだ様でじゅくじゅくしている赤い皮疹ができるのが特徴です。また、かゆみのため、掻破行動が起き、体のいたるところに、皮膚がむけた状態(「びらん」といいます)やそこに「かさぶた」をつけた状態の皮膚になります。この時期に発症した患者さんでは、どちらかというと皮膚は乾燥してざらざらした状態をしめしており、症状は、首、肘、膝のうら、手首などに多く、症状がみられる部位が限られているのが特徴です。また患者さんによっては、掻破行動が続くと、その部位の皮膚がすこし硬く盛り上がった様になることもあります。このような状態の皮膚のことを「苔癬化局面(たいせんかきょくめん)」といいます。

(質問) 成人期のアトピー性皮膚炎にはどんな症状がありますか?

(回答) 基本的には成人期のアトピー性皮膚炎の症状は、幼児期、学童期の患者さんの症状と同じです。この時期における患者さんの症状の特徴としていくつかの点があります。

1.経過が長く続いているために皮膚が硬くなり盛り上がった状態になることがあります。個々の皮疹が硬く大型となって「痒疹」と呼ばれる皮疹になったり、首の周りの皮膚が厚くなり波打ったようになったりすることもあります。

2.皮疹が上半身(首、胸など)に強くでることが多い。といったことがあります。特に②の特徴のうち、顔面に皮疹が強く出現し、思春期、成人期の患者さんの中にはその為に社会活動に積極的に参加できなくなる患者さんもいます。また症状が悪化し、皮疹が全身に広がり全身の皮膚が赤くなり、「紅皮症」と呼ばれる皮疹の状態になることもあります。

(質問) アトピー性皮膚炎に合併する皮膚の病気にはどのようなものがありますか?

(回答) アトピー性皮膚炎に合併しやすい皮膚疾患の合併症としては、皮膚への細菌やウイルスの感染症があります。主なものとしては、「伝染性膿痂疹」、「伝染性軟属腫」、「カポジ水痘様発疹症」などがあります。

1. 伝染性膿痂疹
一般的には「とびひ」と言われます。黄色ブドウ球菌などの細菌が皮膚に感染した病気です。掻破などにより生じた皮膚のびらん面に細菌が感染しておこります。治療方法としては、抗生物質の内服、抗菌作用のある外用剤の塗布などの方法で治療します。

2. 伝染性軟属腫 
一般的には「水いぼ」と言われます。ウイルスの感染により起こります。皮膚に半球状で中心に点があるような小さな水ぶくれのようなものができます。治療方法はピンセットでつまんで取ります。

3. カポジ水痘様発疹症
皮膚への単純ヘルペスというウイルスの感染により引き起こされます。じゅくじゅくした皮膚面にウイルスが感染し、ちいさな水庖を作ります。治療方法は抗ウイルス剤の投与が必要になります。症状が重く、ぶつぶつが全身に広がっているような場合には入院のうえ治療することが必要になることもあります。

(質問) アトピー性皮膚炎の治療の目標はどこにおけば良いですか?

(回答) この質問に対する答えは大変難しいと思います。治療を担当する医師、個々の患者さんの症状によってそれぞれ違ってくると思います。私が日常診療で考えていることをお話いたします。アトピー性皮膚炎を含め、すべての病気の治療目標は、「根本的に病気を治す」ということだと思います。しかし、残念ながら現在の医学ではすべての病気を完全に治すことはできません。例えば、「高血圧」の患者さんは血圧を下げる飲み薬を飲みますが、この治療も「高血圧」を根本的に治す薬を飲んでいるわけではなく、薬によって対症的に血圧を下げているのです。対症的な治療方法だからといってこのような治療法が誤った方法とは思いません。このような方法によって血圧を適正な値に維持することにより合併症を防ぐことができます。アトピー性皮膚炎の治療の目標もこの例に似たところがあると考えています。現時点でアトピー性皮膚炎に対する根本的治療となる方法はありません。アトピー性皮膚炎では、臨床症状が良好な状態で、日常生活に支障なく、合併症を起こさないように生活できることを第一の目標に置いて治療していくのが良いのではないかと考えています。そのための方法として、外用剤、内服薬を用いますが、それ以上に患者さん自身が日常生活で自分の皮膚を痛めつけるような生活をしていないかということを考えてみることも大切だと思います。

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